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デザイン・クリエイティブセミナー 細田 高広 氏開催報告書

2025.09.26 | Category: Report, seminar / workshop | #Tag: , ,
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問いが変われば、未来が変わる— コンセプトのつくりかた、育てかた

1.開催日:2025年9月19日(金)18:00–20:00
会 場:デザインギャラリー(旭川市宮下通11丁目 蔵囲夢)
主 催:あさひかわ創造都市推進協議会
講 師:細田 高広 氏
(TBWA\HAKUHODO 取締役/コンセプトクリエイター/『コンセプトの教科書』著者)
2.参加者数:47名

3.内 容

(1) コンセプトとは何か —— 「新しい意味」の発明

  • コンセプトとは「新しい意味」を与える行為である
  • 単なるアイデア・ネーミングではなく、“誰にとってどんな価値があるか”を明確にするもの
  • 言葉の背後には
    「これは何か」「なぜ必要か」「誰に意味があるか」
    という問いが存在し、その質が未来を決める

(2) 送り手目線から受け手目線へ

3.事例を用いながら、
「スペックの説明」から「顧客が得る価値の提示」へ の重要性が語られました。
コンセプトとは“意思決定を束ねる意味の設計図”である。

(3) 意味が価値を生む

  • キャンドル:照明ではなく「暗がりを楽しむ」「香りを楽しむ」体験価値

(4) 問いの変換(リフレーミング)

さまざまな角度から問いを変える実例が紹介されました。

  • 物理 → 心理:空港の荷物問題=「待ち体験の改善」
  • 名詞 → 動詞:マグカップ=「水を運ぶという行為」から再設計
  • 利己 → 利他:新幹線清掃TESSEI=「効率的に掃除」 → 「おもてなし」
  • その他:NASA宇宙ペン、危険運転抑止策など多数

(5) 4つのC(4コマ構造)で設計する

  1. Customer:顧客のインサイト(葛藤)
  2. Competitor:競合の手抜かり
  3. Company:自社の強み
  4. Concept:提供する意味

「困りごと → 未充足 → 自分たちが応える → 意味の提示」の流れが強いコンセプトを生む。

(6) インサイトは“葛藤”に潜む

  • 外食チェーンのサラダ失敗:
    顧客は“ヘルシー”と言いながら実際はボリュームを選ぶ
  • 男性美容市場:
    「必要」×「相談しにくい」という矛盾が潜在需要に

(7) 価値の分解(Fact→Merit→Benefit)

同じ機能でも、対象の違いで“意味”は変わることを複数事例で解説。

(8) 言語化の型

  • 二語の圧縮(例:「1000曲×ポケット」「Third×Place」)
  • 変革法、メタファー法、反転法、スライド法 など
    実戦的な技法が多数紹介されました。

4.会場ワーク

テーマ:「ダイニングテーブルを“動詞”で再定義する」

参加者からは、
「学ぶ」「遊ぶ」「飾る」「避難する」「語る」など多様な動詞が挙がり、
“名詞から連想する固定概念をはずす”ことで、発想が大きく広がる体験となりました。

5.閉会のことば

渡辺会長からは、

  • ユネスコ創造都市加盟から5年を「再スタートの節目」と捉えたい
  • 市民に親しまれるデザイン活動へと広げていきたい
  • 今日学んだ「問いを変える思考」を、市民と共有して旭川の未来をともにつくりたい

との総括が述べられました。

6.まとめ

本セミナーは、コンセプトを「問い」や「意味」として捉え直す重要性を学び、
問いが変われば未来が変わる”という実感を持ち帰る場 となりました。

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