「デザインを言語化する力:誰もがデザインを学び活用できる未来へ」
74名が参加し、“デザインの本質”を体感する3時間に
あさひかわ創造都市推進協議会では、令和7年3月5日(火)、
大雪クリスタルホール レセプション室にて
デザイン・クリエイティブセミナー
「デザインを言語化する力:誰もがデザインを学び活用できる未来へ」
を開催しました。当日は、市民・学生・行政職員・企業関係者など 74名 が参加しました。
■ 1. 開催概要
日 時:令和7年3月5日(火)17:30〜20:30
会 場:大雪クリスタルホール レセプション室
講 師:稲葉 裕美 氏
(デザイン教育家/WEデザインスクール代表)
参加人数:74名
■ 2. セミナーの趣旨
本セミナーは、
- デザインの基本を学びたい人
- 改めて整理したい人
- 体系的に理解したい人
など幅広いレベルの参加者に対応した内容で構成されました。
約3時間のセミナーでは、講義だけでなく、
「手を動かしながら理解するワーク」を5回実施。
参加者自身が“デザインを実感し、言語化する”時間となりました。
■ 3. プログラム内容
■(0)アイスブレイク:参加者同士の自己紹介
セミナー本編に入る前に、参加者同士がお互いに
「名前」「仕事」「今日の期待」を共有。
会場全体が和やかにほぐれ、学びの姿勢が整いました。
■(1)デザインを言語化する力の重要性
● 「デザイン=曖昧」「センスの世界」という誤解
講師は冒頭で次の問題を示しました。
- デザインの良し悪しを説明する言葉がない
- 「なんとなく好き/嫌い」で判断される
- デザイナーに発注する基準が曖昧
- 「センスがないから無理」と思い込む
特に日本文化では、デザインが “職人から弟子へ、感覚で伝わる” 傾向があり、
言語化が後回しにされてきた歴史があります。
しかし多様な人がデザインに関わる時代では、
なぜそれが良いのか/どう改善するのか
を言葉で共有する力が不可欠 であると強調されました。
● セミナー全体の4つのテーマ
- いま、なぜデザインか
- デザインの誤解を解く
- デザインの力(特徴)を知る
- 明日から使えるデザイン活用法
■(2)いま、なぜデザインか
● 世界の潮流:合理性から“感性的価値”へ
Appleを例に、
「内部構造と外観を一体でデザインすることで圧倒的価値が生まれている」
という事例を紹介。
日本企業で事例を紹介し、
「感性的価値の創造」こそが企業の成長を後押ししていると説明しました。
● デザインを判断できるリーダーが必要
デザイナーが優秀でも、
「上に“判断できる人”がいない組織」は成果が出ない。
Appleのジョブズのように
どこでデザインを使うか明確に判断できる人材
の必要性が語られました。
■(3)デザインの誤解を解く(ワーク中心)
● ワーク①:文字の間隔で“印象”は変わる
字間を変えた3パターンを比較。
小さな差が大きな印象差を生む ことを、全員で体感。
● デザインには必ず“理由”がある
直感で決めているわけではなく、
目的・意図に合わせて細部まで調整する“設計行為”
であることを再確認。
● ワーク②:2つの椅子の比較
「どちらが良いか」ではなく
「どの目的に合うか」
が重要という視点を共有。
● ワーク③:配色・素材による印象の違い
視覚言語(色・素材・形)の法則 の理解を深めました。
■(4)新しいデザインの定義と“デザイナーの強み”
デザイナーの独自の力を3つに整理:
- 視覚で情報を伝える力
- 感性的価値をつくる力
- 人間中心で考える力
ビジネスの現場で説明しやすい形で“言語化”しました。
■(5)感性的価値をつくるワーク
規制や注意だけでなく、
「楽しい」「やってみたい」をデザインすることで行動が変わる
という大きな学びが共有されました。
■(6)明日からできるデザインの磨き方
- 良いデザインをたくさん“見る”
- 感じたことを“言葉にする”
- 日常の衣・食・住を意識する
- まず“真似する”ところから始める
- スマホ写真ではなく“空気感”を味わう
センスは「生まれつき」ではなく、
蓄積で育つ技能 であることが強調されました。
■ クロージング
最後に稲葉氏は、
「デザインが、みなさんの日々の仕事や生活を豊かにしていくことを願っています」
と締めくくりました。








