1.日時及び会場
日時:令和4年6月25日(土)15時から16時30分
場所:あさひかわ北彩都ガーデンセンター
2.講師
登壇者
パネラー あさひかわ創造都市推進協議会 会長 渡辺直行(旭川市)
名古屋市 観光文化交流局 文化振興室 江坂恵里子(名古屋市)
神戸市 企画調整局 参画推進課 担当部長 藤岡 健 (神戸市)
モデレーター 株式会社ここはれて取締役 門田達也(旭川市)
3.テーマ
持続可能なユネスコデザイン都市
4.参加者数 40名
5.概要 神戸市の藤岡部長,名古屋市の江坂さん,あさひかわ創造都市推進協議会の渡辺さんからそれぞれのデザイン都市の取組について説明があった。
それぞれの都市を紹介
○神戸市 藤岡部長
神戸市は,デザインによって新たな魅力を”協働と参画”で創造する都市を目指している。神戸市は,2020年からデザイン・クリエイティブ枠の職員を採用している。クリエイターの情報発信をしており,そのプラットフォーの拠点のひとつがKIITOである。その他にKIITOと教育委員会,企画調整局ではこどもの創造的学び事業を実践するためワーキンググループをつくり,創造的学びを市内に拡げてゆく。
○名古屋市 江坂さん
1989年にデザイン都市宣言を行ってからのデザインの取組について紹介。デザイン都市なごやは2008年に加盟し,3つのビジョン,原石を磨く(若手人材の育成),環境都市への誘い(環境配慮型のまちづくり),多様な文化との交流(ユネスコ創造都市との交流) を策定し取組を進めている。
その代表的な取組である,ストリーミング・ヘリテージ(遺産再生)の取組について紹介があった。
○旭川市 渡辺さん
旭川市は,ユネスコ創造都市ネットワーク加盟認定後,デザイン経営に力を入れてきた。その時のキーワードは,愛,センス,アートなど全て五感で感じる世界。五感を覚醒して自然に触れることがデザインと考えている。旭川でデザインは家具という結びつきが強い。デザインを幅広い分野に生かしていくためデザインウィークを近隣の町を含めオール旭川で実施し広がりを見せているなどの紹介があった。
パネルディスカッション
(モデレーター門田さん)
住みやすさはデザインと話があった。一方で神戸市は子どもたちには挑戦して欲しい。自分は挑戦する時に,環境を変えるためまちを出てしまう。デザイン都市とは何か?藤岡さんにお伺いしたい。
(神戸市藤岡さん)
神戸市に暮らしている方が,「住みやすいよね」と日々の暮らしで快適に感じることが原点。その幸せのために課題を解決しく取り組みをすすめている。市民の方々が問題を解決する創意工夫のデザインを大切にしている。行政は創意工夫を後押ししていくことが重要と思っている。また,市民が神戸のデザイン再認識することにも力を入れている。
(モデレーター門田さん)
機能性とデザインは違うのではないかと思っている。デザインは五感で感じるものなのか。何もせずに暮らしていくことが幸せなのか?江坂さんにお伺いしたい。
(名古屋市江坂さん)
神戸市の良い所は,創造都市になる前から都市のブランド力が高いこと。名古屋市はブランド力が高くなかった。実は,名古屋市民は日々の暮らしに不満を持っていない。名古屋市はどこがデザイン都市なのかよく聞かれる。駅に行くためのインフラが整っている。市の中心部にミニシアターや文化を感じるものが多い。ただハイライトが当たっていない。大学進学も地元が多い。文化もインフラも整っている。衣食住に不便がない。しかし困っていないためまちを活性化するために踏み出す人が少ない。
(モデレーター門田さん)
満足してしまっているのがポイント。日本はどこも住みやすいので満足しやすい。それでも挑戦することが大事ですが。
(名古屋市江坂さん)
名古屋市の良さを伸ばすために大学生中心の人材育成をおこなっている。どうすれば学生がワクワクする街づくりができるかを考え取り組んでいる。大学生と小さい事業をおこなっている。
(モデレーター門田さん)
デザインとアートの違いについて,渡辺さんにお伺いしたい。
(旭川市渡辺さん)
アートは自己表現で利己的。デザインは他人のためにするもの。それでは終わってしまうので,旭川の話をします。デザインは何か材料を変える手法だけではなく,旭川は豊かな自然をデザインにより暮らしを幸せにすることと考えている。我々は自然ありき。自然があり我々が暮らしている。今日のテーマは持続可能。50年後も100年後もそこそこに満足にしながら生きていける。人間も植物も動物も地球全体が。
我々が抱えている課題であるが,20世紀は,高い,強い,早いが大事な価値観。これからは広がり,しなやかさ,ゆったりとした時間が大事。まさに旭川。具体的な話をすると,北海道に生えている木の総重量3億トン,北海道に住んでいる人の総重量26万トン。今まで人類が作り続けてきたプラスチックの総重量80億トン,北海道の木の30倍。自然を害さないで暮らすこと。豊かさではなくて幸せが重要である。旭川市は,時間をかけてデザイン都市として取り組む。市民の誰に聞いてもデザインが帰ってくるように進める。
(モデレーター門田さん)
先週まちなかキャンパスが買物公園で行われ,様々な学校が出展し,多くの市民が参加していました。それぞれの街の取り組みを教えてください。
(神戸市藤岡さん)
神戸市には,市内に23の大学あがる。神戸市の学生は,学んでも,就職の際に,県外に出てしまう。そのため,積極的に大学と連携をすすめている。札幌市のノーマップス(交流・実証実験などを展開しクリエイティブな発想や技術で、次の社会・未来を創るためのコンベンション)同様の取り組みをすすめていて,若い方の実証実験の活動支援を行なっている。例えば神戸の街で普段使えない場所を新たな企画提案により音楽イベント開催などの取り組みを支援している。
(名古屋市江坂さん)
大学が多く卒業生の半分ぐらいは地元に就職している。名古屋がデザイン都市に加盟した頃,デザインウィークで,卒業生たちがインテリアショップと連携し,インテリアショップや公園を使ってイベントを開催していた。手弁当なのでサポートするのが大変だったため,次の時代に引き継ぐことができなかった。現在は,「みちにわマルシェ」として環境をキーワードに若い学生が取り組んでいる。時代に合わせて変化し,広がることが大事。
(モデレーター門田さん)
三都市揃っているので今後どのような交流,連携ができるのかお伺いしたい。イベントの交流もあると思うがそれ以外についてもお伺いしたい。
(旭川市渡辺さん)
行き来している間に,何かが生まれる。クリエイターの方が行き来し交流すると自然発生的に何かが生まれることから,行ったり来たりすることが大事。
(神戸市藤岡さん)
交流が大事。この自然環境が財産だと思う。自然環境は見直され,人材育成と並ぶ,かけがえのない取り組みである。課題解決や人材育成で絡むことにより何かできれば良い。
(名古屋市江坂さん)
連携すべきという派である。直感で行うぐらいが大事。カジュアルなことが続ける秘訣ではないか。枠をしっかり作るとそこに縛られてしまう。デザイン都市以外にも国内都市ネットワークがあり,10都市あるが,枠にはまっている。例えば,創造都市のクリエティブに興味あるなら,五人でも三人でも手をあげてすぐにいく。そういったカジュアルなコミュニティが重要。デザインのまちや家具のまちなどを客観できる場所をそれぞれの都市が持っている。その土地を訪れて人が実感できるクリエィティブ産業のツアーは私たちにしかできない取り組み。それもカジュアルに行う。まず第一回こうして呼んでいただいたが,ここにどれだけ,名古屋市,神戸市から旭川に行こうと呼び込めるかどうか?
旭川に集まったらセッションや配信しようなどの場を生み出せたら良いなと思う。
(モデレーター門田さん)
デザインは直感ではない。デザイン都市はそれぞれの都市を行ったり来たりするハブみたいなところ。カジュアルな感じですることが大事だと感じました。